公開電子手帳

7割が書き殴り日記、2割がお役立ち情報、1割はそれ以外の何か。数値は適当。

小説『或る内気な美女の話』①

 今より少しだけ昔のことである。とある町にとても可愛い少女が住んでいた。彼女の名前はりなという。彼女の笑顔は可憐で美しく、佇まいも大変上品で気品に溢れていた。しかし、彼女はおしゃべりをとても苦手としていた。極度の恥ずかしがり屋で、人前に出ると声が上ずり顔はりんごのように真っ赤になってしまう。そんな彼女の一番の楽しみは読書だった。小学生の頃からずっと、家や図書館に籠って本を読んでいた。

 月日が流れ、りなは大学生になった。大学生になってからも図書館に籠っていた。彼女の友人から、とても可愛いし出会い探して彼氏を作ってみたら、と提案された。しかし、りなは学業と読書とアルバイトに夢中で恋愛には興味を示さなかった。男性からお誘いは何度かあったが、誘いに乗っても彼女が恥ずかしがってほとんど話さない上、恋人らしい雰囲気をあからさまに避けようとするので知り合い以上友達未満の関係で止まるばかりであった。

 ある日、りなは大学の図書館で読書に耽っていた。閉館のチャイムが鳴り、はっとして身支度を済ませ、図書館を後にした。

 

続く